「年次有給休暇の時期指定義務の開始について」では、有給休暇の付与に関する義務についてご説明しました。
そこで「年次有給休暇の付与の基準日において年10日以上の年次有給休暇が付与される全ての労働者について時期指定義務が発生」し、ほぼすべてのフルタイム勤務の正社員労働者が該当するといいましたが、ここで注意点があります。
ポイントは、フルタイム勤務の労働者についてのみ年次有給休暇の時期指定義務が発生するわけではなく、あくまでも、年10日以上の年次有給休暇が付与される全ての労働者について、時期指定義務が発生するということです。
これはつまりどういうことかというと、条件によっては、フルタイム勤務ではないパート労働者・アルバイト労働者についても、年10日以上の年次有給休暇が付与される方であれば、有給休暇を基準日から1年間に5日を付与しなければならないということです。
年次有給休暇の付与日数の表をご覧ください。赤文字で記載されている条件の労働者は、有給休暇の付与日数が10日以上となるため、5日の時期指定義務が発生することになります。
具体的な条件を以下に記しますので、該当する場合は、フルタイム勤務ではないパート労働者・アルバイト労働者であっても注意が必要です。
〇週所定労働日数が4日以下かつ週所定労働時間が30時間未満であること
かつ
〇勤続年数が3年6ヶ月以上経過し、かつ週4日(または年間169日〜216日)勤務していること、または、勤続年数が5年6ヶ月以上経過し、かつ週3日(または年間121日〜168日)勤務していること
年次有給休暇の比例付与については計算(表の見方)が少々難しいかもしれませんので、パートタイマー等の短時間勤務労働者がいて、その方が長期で勤続している場合など、注意が必要な場合があるかもしれませんので、お心当たりがあればすぐご相談ください。
(表)週所定労働日数が4日以下かつ週所定労働時間が30時間未満の労働者の年次有給休暇の付与日数
週所定労働日数 | 年間所定労働日数 | 勤続年数 | |||||||
6ヶ月 | 1年6ヶ月 | 2年6ヶ月 | 3年6ヶ月 | 4年6ヶ月 | 5年6ヶ月 | 6年6ヶ月以上 | |||
付与 日数 |
4日 | 169日~216日 | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 |
3日 | 121日~168日 | 5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 | |
2日 | 73日~120日 | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 | |
1日 | 48日~72日 | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 |
※年間所定労働日数は、週以外の期間によって労働日数が定められている場合です。
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