2024年10月1日より順次各都道府県で最低賃金額の改定が行われました。
最低賃金額の全国加重平均時給額は、前年から51円平均の引き上げとなる1,055円となりました。引き上げ幅(率)は5.1%で、全国的に大きく引き上げされたとみられております。
なお、加重平均とは、数値の持つ重み(偏り・バランス)を考慮して平均値を出す方法で、最低賃金額改定の加重平均額については、各地域の賃上げ額を賃上げの影響を受ける労働者数の重みを平均算出の計算に反映させ、各都道府県当たりの総合の平均値を算出する方法によって出されたものになります。
ちなみに、この方法は、データの数を単純にすべて足してから単純に総数で割る、いわゆる一般的な平均の求め方では平均値が著しく偏ってしまうような場合に、この算出方法が用いられることがあります。
さて、今般2024年10月の最低賃金額改定によると、全国1位の東京都の最低賃金額1,163円(目安どおり50円アップ)で、47位の秋田県の最低賃金額951円(4円上乗せして54円アップ)となりました。今回の改定で、全国すべての都道府県で、最低賃金額が950円を上回りました。
昨今の物価高や原材料費・エネルギー費高騰が続いており、労働者側の要求を見ると、今年の引き上げ額でも足りないという意見もありますが、急激な賃金上昇は使用者側でカバーしきれない範疇でもあり、難しい一面もありますので、これからの経済状況等を見ながら注意していく必要があります。
また、それとは別に、地域別最低賃金の地域別であるということ自体についてそもそも論が議論されるようにもなり、いわゆる徳島ショックのような大幅加算や、逆に、場合によっては国の目安額を下回る(周囲の自治体との均衡をはかる)ということも、来年令和7年度改定には有り得るのかもしれません。
(さきの衆議院議員総選挙では、最低賃金引上げについても公約や議題にあがっていました。)
※「徳島ショック」とは、徳島県の令和6年度の答申においてギリギリまで協議が行われ、国の目安額の50円を上回り、かつ、大幅に34円も上乗せした、84円アップ(9.4%引き上げ)の改定が行われた状況のことをいいます。
これを機会に、ぜひ厚生労働省の最低賃金案内ページを確認してみましょう。
厚生労働省・必ずチェック最低賃金サイト
https://saiteichingin.mhlw.go.jp/
最低賃金特設ページ
https://saiteichingin.mhlw.go.jp/chingin/
あなたの賃金を比較チェック
https://saiteichingin.mhlw.go.jp/check/analyze.php
当事務所では、最低賃金や従業員の賃金改定などに関するご相談を承っておりますので、賃上げなどについてご不明な点のある事業主の方はお気軽にお問い合わせくださいませ。